悪魔と狐の物語

空想歴史小説ファンタジーです。人の歴史を見つめ続けた神狐と大悪魔の物語。

2016-12-01から1ヶ月間の記事一覧

妹狐の物語17

夜が明けた。 その夜明け前の深夜に、殺しも殺したりと言う程に、私達の一行は明石国の兵隊を殺してしまった。 彼等が賊ではなかったと理解できたが、だからと言って、殺してしまった相手側の者達も、死んだこちら側の護衛も生き返らない。 死んだ者は去って…

妹狐の物語16

夜はまだまだ深かった。 戦闘の時間はおおよそ20分そこそこだった様だ。 母と姉が負傷者の治療と、傷口や当て布を洗う湯を用意した。 幸い池のほとりなので、清浄な水が沢山手に入る。 さて、これからは拷問の時間でもあるのだ。 賊はブルブル震えながら稲…

妹狐の物語15

「襲って来ますかね?」稲目様に対して、護衛の隊長は小声で聞いていた。 「襲って来るだろうな。来るとすれば夜かな。存外、あ奴等こそがまさに土匪なのかも知れんぞ。あれらが明石の兵隊と言うのも怪しいもんじゃ。飾磨あたりの兵隊でなければ、ここまで越…

妹狐の物語14

それからの旅路に特筆すべきものは無かった。 少なくとも、加古川に到着するまでは。 稲目様は、増水する前ならば、川を船で馳せ下って来るのが一番早かったと言っていたが、雪解けの後の古代の加古川は、現在の様な堤防も無く、単なる危険な大きな川でしか…

妹狐の物語13

その後の道中は、比較的だが平穏であった。 山賤どもが何度か姿を見せたが、それらは全て撃退された。 と言っても、血を見るまでに肉薄して来た山賊たちは居なかったのだけど。 最近では、稲目様が私を見る目線には、明らかに普通の人間を見る以外の目線が混…