悪魔と狐の物語

空想歴史小説ファンタジーです。人の歴史を見つめ続けた神狐と大悪魔の物語。

2016-09-01から1ヶ月間の記事一覧

妹狐の物語4

往路は人の身なりで、復路は獣として野山を走る。 私達は目的を果たせないと悟れば、その瞬間から果断に来た道を引き返す。 私は自分も含めた家族の変化の術について、この時に疑問を抱いた。 もっと醜い姿に変化すれば良いのではないか。そう思ったのだ。人…

妹狐の物語3

初めて行く朝鮮半島。 今も忘れられないのだが、当時の朝鮮半島南部は、日本人が沢山住む別天地だったのだ。 私達の両親は、その頃は日本の里で陸稲を育てる小作を行い、時には鋳掛も行い、時には製鉄や青銅の鋳造も行った。 それでも、長い間は同じ所にいら…

妹狐の物語2

私自身の略歴を簡単に話して置こう。 私が生まれたのは、現在の暦で5世紀の頃だった。 それよりも先に生まれた姉と兄。姉はたえと言う名で、兄ははせと呼ばれていた。 父母はそれぞれにかぬちべ、やめと名乗っていた。 全員今の九州で生まれた。当時の九州…

妹狐の物語1

さて、私が何時生まれたのか、それはもう覚えていない。 幼い頃の記憶は極々曖昧だ。当然だろう、私は生まれた頃は単なる獣同然だった。 けれど、他の獣たちと一つだけ違うところがあった。 私の両親は、揃って神狐だったのだ。 神狐とは?それは、人の言葉…